所得控除と税額控除の違い
税金の控除って複雑でわかりにくいですよね。ここではふるさと納税や住宅ローン控除、税金を計算するときの経費の扱いなどで迷うことの多い「所得控除」と「税額控除」の違いについてわかりやすく解説してみます。
まず前提として、所得税は「課税所得」という金額をもとに支払う税金の金額を決めます。
課税所得というのは、年間の収入の合計から経費(サラリーマンはほとんどありません)と控除分(扶養控除や医療費控除など)を引いた分、つまり「あなたの収入のうちこの部分は税金を払う対象です」という部分が「課税所得」です。
収入が同じだとしても、家族構成などでこの課税所得の金額は違ってきます。例えば収入が同じ300万円の人でも、独身の人より扶養家族(妻や子供など)がいる人のほうが課税所得は少なくなる(つまり払う税金は少なくなる)ということです。
ここまでわかればあとは簡単です。
所得控除は「支払う税金を計算する元の金額」が安くなる
所得控除はこの課税所得、つまり「支払う税金を計算する元の金額」を減らしてくれるものです。要するに「税金を支払う対象になる収入をこの分安く計算していいですよ」というものです。
例えば10万円の「所得控除」があった場合は、「課税所得から10万円引いて税金を計算していいですよ」というものです。
例えば課税所得が300万円の人が10万円の所得控除を受けた場合は、課税所得290万円で計算していいですよ、という形です。
例えば所得控除10万円の場合は税金が10万円減るのではなく、所得税の税率が10%の人なら1万円安くなる、20%の人なら2万円安くなるという計算です。
それに対して「税額控除」の場合は支払う税金そのものを安くしてくれます。
税額控除は「支払う税金そのもの」が安く
税額控除の場合は、支払う所得税そのものを安くしてくれます。自営業のかたは年末の確定申告後に支払う所得税が安くなり、サラリーマンの場合は会社から徴収された所得税を還付という形で返してもらうことができます。
税額控除10万円だとしたら、税金が10万円安くなります。
所得控除と税額控除どっちがお得?
もうわかるかと思いますが、所得控除と税額控除だと、同じ金額なら税額控除のほうがお得です。
例えば課税所得が300万円の人は税率は10%です(H29年11月現在の税率で)。※参考:所得税の税率(総務省HPより)
国税庁のHPの計算をもとに課税所得が300万円の人の所得税を計算すると、202,500円(300万円×10%-97500円)となります。
この人が10万円の「所得控除」を受けた場合は、所得税は197,500円となります(290万円×10%-97500円)。所得税の税率10%×10万円=1万円。
所得控除なら1万円だけ安くなる計算です。
所得税の税率が高い人はもっと安くなりますし、税率が5%の人は10万円の所得控除でも5000円しか安くなりません。
同じ10万円でも、「所得控除」ではなく「税額控除」を受けた場合は、202,500円-10万円で102,500円となります。
同じ10万円の控除でも所得控除なら1万円(その人の税率によります)、「税額控除」ならそのまま10万円安くなる(税率に関係なく支払う税金が10万円減る)ということになります。
このように、所得控除の場合は所得税率が一番高い年収4500万円超の人でも45%(所得控除10万円なら45000円)しか支払う税金は安くなりませんが、税額控除の場合はその金額そのもの(税額控除10万円なら10万円)が安くなります。
あきらかに税額控除のほうがお得ですね。
よくある控除の例
税額控除の例 ・・・ 住宅ローン控除(正式名称は「住宅借入金等特別控除」)
※参考:税額控除
所得控除の例 ・・・ 扶養控除・医療費控除・寄付金控除・小規模企業共済等掛金控除など
※参考:所得控除
計算の参考に、所得の金額や所得税が無料で計算ができる便利なプログラムもあります(外部サイトです)
ふるさと納税はどっち?
ふるさと納税の「2000円の自己負担で済む上限」はこのどちらでもありません。
所得税の所得控除だけでなく、住民税なども関わってくるためです。
ただし、ふるさと納税は2000円の自己負担で済む上限の範囲内で行えば所得税・住民税を合わせて考えると結局「納税した金額-2000円」は税金の支払がそのまま減ることになるので、ふるさと納税は「税額控除のようなもの」とイメージするとよいでしょう。
上限金額内で10万円ふるさと納税したら税金は98000円安くなるのですから、税額控除とほぼ同じですね。
気になる方はふるさと納税をした翌年の5月頃にふるさと納税で支払った分がちゃんと還付されたかどうかの確認方法で確認してみて下さい。
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